現金と預貯金

男性のための離婚知恵袋 リコチエ

現金と預貯金

女性の方は→女性のための離婚知恵袋

現金と預貯金は、金額もはっきりしていて最も分けやすい財産ではありますが、それはまさに金額がはっきりしている場合だけです。
どういうことかというと、ほとんどの夫婦において、1つの預金口座で2人のお金の全てを管理していることなど、現実的にあり得ないということです。

例えば、あなたの給料が振り込まれた口座を妻が生活費として管理しているとします。

あなたは毎月、生活費から小遣いをもらいますが、あなたはそれを常に現金で持ち歩くでしょうか。
それならばわかりやすいですが、例えばあなたの個人口座にプールしておくことはないでしょうか。
恐らくほとんどの人は、財布の中の現金が全てのお金ということは少ないはずです。

同じことは妻にも考えられ、生活費として引き出されたお金の全額が、生活費に消えているかどうかなどわかりません。
へそくりとして、どこかに貯めこんでいることだって十分に考えられ、夫婦というのはお互いの個人的な預貯金を把握していることなどほとんどないのです。

これが、離婚時において財産分与の総額を算出するときに、大いにトラブルになります。
相手がもっと持っているはずだという主張と、持っていないという主張がぶつかり合うパターンです。
離婚の段階にまできて、実はこれだけ持っていると、素直に明かす人がどれほどいるかということです。

原則的に、もっと持っているはずと主張する側が、その根拠を提示しなくてはなりません。
個人では口座の調べようがないので、いくら収入があっていくら支出があるのだから、どのくらい残っているという主張です。

ここで、あなたの給料が振り込まれた口座を妻が管理している例に戻りましょう。

あなたは当然に自分の給料の額は把握しており、口座にいくら入金されたかは知っています。
しかし、生活費がいくら掛かっているかを知っている男性はほとんどいません。
逆に、妻は入金を把握し、いくら引き出して生活費に使ったかを把握しています。

つまり、妻と違って実際の支出を知らないあなたは、生活費用の口座ですら、その残高が正しいかどうかを知らないということになります。
毎月50万円の給料で20万円の生活レベルなら、残りを使途不明として主張できても、コツコツと貯められたへそくりはどうしようもないでしょう。

裁判所には調査嘱託といって、必要であれば銀行に調査を依頼する方法があります。
しかし、銀行の対応はまちまちで、口座名義本人の同意がなければ応じないことも多く、調べられるとは限りません。

現金や預貯金は動かしやすく隠しやすいため、財産分与において全てが開示されるわけではないと認識しておくべきです。