嫡出推定とDNA鑑定

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嫡出推定とDNA鑑定

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嫡出推定という制度は、子供の権利を出生後速やかに保護し、父親からの嫡出否認という機会を与える以外は、法的な父子関係による子供の福祉を図る目的があります。

もし、嫡出推定という制度がない場合、生まれた子供は父親が存在せず、そうではない子供と大きな違いが生じてしまいます。
何の罪もなく生まれてきただけの子供が、法的な父親の有無によって差別されるのは、法の下の平等に反しているでしょう。
また、いつでも嫡出否認ができてしまうと、生涯において、ある日突然父子関係が覆される恐れを持つことから、嫡出否認できる期間は決まっています。

ここで、嫡出推定を受けた子供と、嫡出推定による父親との間で、DNA鑑定が行われ、血縁関係にないと判明した場合はどうでしょうか。

平成26年に最高裁は、DNA鑑定によって血縁関係にないことが証明されたとしても、嫡出推定による父子関係は覆らないとする判決を出しました。
この判決の是非はともかく、父子関係による法的な安定が、DNA鑑定によって失われることは、当人の不利益が大きいという考えです。

裁判官の中には、生物学上の父親との親子関係が法的に確保できるなら、嫡出推定による戸籍上の父子関係の取消しを認めるべきという意見もありました。
しかしそのためには、民法を改正しなければならないので、実現は先になりそうです。

つまり、離婚後に元妻が子供を産み、嫡出推定であなたが法律上の父親になった場合、やはり嫡出否認をしないと父子関係を取り消せないということです。